私は接客業に携わり、多くのお客様を接客してきました。
そこで接客業に切っても切れないのはクレームでした。
どんなに良いお店でも、どんなに良いスタッフが一生懸命働いても絶対にいつかは大なり小なりクレームは起きます。当たり前ですが、不特定多数の誰にとっても完璧なお店などありません。
その上で深刻化してきたクレーマー。一時期土下座問題などもあったと思います。
今ではSNS社会で拡散や晒しなど多くの嫌がらせもあります。
非常にクレーム対応は大変ですし、退職を考えるほど傷付く方も見てきました。
そういった方々を一人でも無くすために、多くの方が安心して気持ちよく勤務ができるように、ここでの知識をお役立て頂ければ幸いです。
それでは本文をどうぞ!
お客様は神様!の語源
演歌歌手の三波春夫さんが歌うときの心構えを言ったという内容で有名ですが、私はそれよりも先に違う語源で知っていました。
私の出身の地方は”神楽”という歌舞が有名で同級生でも神楽を練習している人たちがいました。
神楽は神々に対して舞を踊る招魂・鎮魂の神事であり、お客様は神様でした。
そう、神様がお客様です。
なので誤解を招きますが言います。
悪質なクレーマー、おまえは神様じゃねーよ!
神様がお客様なんだよ!と。
もちろん経営をする上でお客様は非常に大切で大事で、来て下さることに感謝しかありませんが、その言葉をはき違えて客だから偉いと勘違いして横暴を振るうような方は神様でもお客様でもありません。
「お客様は神様です」
この言葉の意味は演者・提供する側の心構えの言葉であって、間違っても受け手側の為の言葉では無いということです。
クレームが無くなって得をするのは誰?
A,全員です。
お店にクレームが無い=良いお店という印象が付きます。
言わずもがなクレームが無ければ退職者も減り、業務効率も格段に良くなります。
クレーマーが叫び散らしているお店に行きたいと思いますか?もしそういう場面に出くわしたとしても誠意ある謝罪をして、過度なクレームには毅然と対応している店舗に行きたいですよね。
そういった事からみんなに得があるし、そういった誠意もあって謙虚に毅然とした態度ができる店舗はクレーマーもクレームを言いづらくなります。
逆にクレームが多い店舗は、真逆です。そういった悪循環で、クレームがクレームを呼びます。
クレームには2種類ある?
クレームといっても色々な内容がありますし、それらによって対応は全く変わってきます。
その中でも対応が全く違う2つをあげます。
こちらに非があるクレーム
これは例えば飲食店で【商品に不具合がある・料金計算にミスがある・謝った説明をした】などです。
こちらに関しては、とにかく謝罪とできうる限りの改善内容をお伝えし、実行するのみです。
この内容に関しては、ほとんどのサービス業で頻繁に起こるクレームかと思います。
こちらに非がある場合にできることは、その会社によってある程度決まっていると思いますし、ベテランの方であれば、特に悩むことも無く対応できるかと思います。
こちらのクレームに関しては、スピードが勝負でもあります。
いかに素早く、的確な対応が出来るかで、クレーム消化できるかが決まってきます。
イチャモンをつけるクレーム
接客業で一番大変なクレームはおそらくこれです。
例えば【ミスがあったんだから家まで謝りに来い・上司がいない時に上司を連れてこい・その他常識的に無理難題を押しつけてくる】等々、上げ出すとキリがありません。
普通に友達同士で言ったら絶交するだろと思うような内容を店員には平気で言ってくるようなクレーマーがいます。
今回はイチャモンをつけるクレーム対応にスポットを当てて、対応術をお伝えしていきます。
最終的には警察に頼ろう
警察は民事不介入でもめ事やお店とお客さんのトラブルには介入する力を持っていません。
しかし、暴力を振るわれた・ものを壊された・盗まれたなどの時には刑事事件として被害届を提出することができます。もちろん言葉の暴力や業務に差し支えのある程時間を取られる場合も対応してもらえます。民事不介入ではあれど、第三者として仲介してくれたりなど、電話をかけて現場に来てくれないことは絶対に無いので、万が一、本当に無理だと判断した場合の最後の砦となってくれます。
なのでこちらに非が無いような酷いクレームの時に、最終的には”警察対応ができる”という気持ちを持って望みましょう。
その安心感によって適切な対応ができる気持ちが生まれますし、自分自身の身を守ることができます。
- 警察は民事不介入だが、第三者としての介入は可能
- 度を超した行動をするお客さんの場合は被害届の提出が可能
クレームと犯罪の線引きを知ろう
土下座強要・威圧的な説教・厨房、事務所への立ち入り・長時間個室でクレーム・不当な値引き要求
これらは刑事上でも法に触れる場合があります。
無知であるが故にクレーマーの言われるがままとなることもしばしばある為、
このような常識の範囲外の行為をされた際に丁寧な言葉で『これ以上○○の場合は警察に相談させて頂く』旨をお伝えできるようにしましょう。
その際もクレーマーの気持ちを逆なですることの無いように、自分たちでは判断できない、第三者に話を聞いてもらうと言った意味合いで誠意を持ってお伝えすることで、相手の気持ちがヒートダウンします。
クレームの始まり
イチャモンクレームに関しても最初は普通のクレームであることが多いです。
そもそもクレームがなぜ起こるかというのは、不満と不満が重なり合って爆発して大クレームになります。
例えばお店で料金が違ったとしてもそれぐらいで爆発するクレームは少ないです。
料金が違う⇒謝罪が無い⇒対応が遅い⇒不満爆発
といった具合に小さなミスの積み重ねの場合が多いです。
つまりクレームは不満の集合体であることを理解しましょう。
そしてそのクレーム対応は当たり前ですが、早急に真摯に確実に対応することで炎上は防げます。
実際の悪質なイチャモンクレームの対応
まず通常のクレームはきちんと誠意を持って謝罪を行い、それに応じた対応を行いますが、それでもご納得頂けず、話が大きくなることがあります。その際に重要なことを記載します。
また、以下の記事では、これらのクレームが起こった際、クレーム対応に使える言葉・使ってはいけない言葉を纏めています。
対応に困った際には是非一読してみて下さい。
それでは、悪質なイチャモンクレームの対応をお伝えしていきます。
こちらの非は認めて真摯に誠意を持って謝罪する
明らかにあちらがおかしいことを言ってきて、こちらが口調荒く言い返すと今度はその態度に関してのクレームとなり二次クレームとなります。冷静に対応して、言葉遣いには気をつけましょう。
出来ることと出来ないことははっきりと伝える
激しい剣幕で理不尽な要求を言われると「いや…、それは…、」となりますが、それはおかしい要求だと判断したならば「大変申し訳ございませんが、そちらに関しましては致しかねます」とはっきりお断りしましょう。クレーマーは調子に乗らせれば乗らせるほど態度が大きくなります。
『今から家にあやまりに来い!』とかはこの事例の最たる例ですね。
例えば食中毒や商品に重大な不備があれば、家まで行く謝罪が妥当ですが、『店員の態度が気にくわない』とかだとどう考えてもおかしいですよね。
話を脱線させない
クレーマーはとにかく怒りたいので色んな話を出してきます。
クレームに起因する話はしっかり対応すべきですが、その話がズレ、訳のわからない話がいつまでも止まらないときには、「話を戻させて頂きますが、、、」といった方が炎上は収まります。
実際に私がクレーム対応しているときに話が飛躍するクレーマーから「今の日本はおかしい!」と永遠と話をされたことがありました。
余計なことは言わない
クレームが終わらない最大の要因はこれです。
難しいことを考えることはありません。
【謝罪⇒対応策の提示⇒実行⇒これ以上できることは無い旨を伝える(妥協点を話し合う)⇒最後の謝罪】
クレーム対応はこれ以上でもこれ以下でも無いので、余計な事をお伝えする必要はありません。
何に対してのクレームなのか、それの改善の道筋を一切違わずにお伝えし、『ウチで出来ることは以上です。』とはっきりと伝える事。
ミスを責められたら『申し訳ございません、再発の防止を徹底します。』
それでも同じ事の繰り返しで話が進まない場合は『警察による第三者を交えてお話ししてもよろしいですか?』で乗り切ります。
そもそもイチャモンクレーマーに関しては、対応している時点で店側の損失なので、如何に早急に話を広げずにこちら側ミス改善の着地点に収めるかが重要です。
話を終わらせる
謝罪しても何を言ってもどう対応しても納得されない方もいます。
こちらに非があったり解決していなければ、もちろん最後まで対応しますが、理不尽でただのイチャモンになってきており、永遠と話が終わらない方には最終手段ではありますが、『大変申し訳ございませんが、これ以上の対応は致しかねます。これ以上は業務に差し支えますので、営業に戻らせて頂きます』等言って抜け出しましょう。
中々こちらから終わらせるのは怖いと思う方もおられるかと思いますが、
こちらで出来うる限りのことはしたという自信があり、何度も話がループする場合は致し方ありません。別に本社クレームになったところで、対応の説明をすれば良いだけなので、毅然と対応をしましょう。
実際にあった悪質なサービス業のクレーム集(ほんの一例)
子供がいても深夜入店させろ!!
サービス業で条例に触れるので、お断りしましたがご納得頂けず。
最初からなぜか激昂していて私もはじめて暴力を振るわれました…。もちろん警察対応で終了。
店員に殴る蹴るの暴行を受けた!!
お店の駐車場に違法駐車を何度も何度もしていた方だったので、さすがキツメに言いました。
すると翌日警察から連絡があり、クレーマーから店員に暴行を受けたと言われていると言われました。
もちろん私がそんなことをしても何の得も無いので、警察にありのまま伝えて、クレーマーを叱って頂きました。
店員の態度が気にくわない!!
あるあるですよね。フロントに入ってきてスタッフにライターを当てようとされたこともありましたし、私が対応しようとした際に殴りかかってこようとしたクレーマーもいます。
もちろん即座に警察対応ですが、酒に酔ったお客さんは手に負えないときもあります。
店内でつまずいて転んで怪我した!!慰謝料払え!
床の清掃をしていない、危険な場所に注意書きがしていないならまだしも、普通の段差で勝手に転んだだけ。これを良しとしたらみんなわざと転んで慰謝料もらいますよ…。もちろんお断りしました。
○○分待ったのに。○○分待たされた…。
時間系のクレームも多いですが、こちらでは実際全ての時間を確認できるので、大体お客様が指摘している半分くらいの時間です。そういう場合も真摯に謝罪と改善の提案をしました。
そんな料金・コース聞いていない!
会計時の酔っ払ったお客さんのテンプレです。
ほとんどの場合が防犯カメラできちんと料金説明をしているのを確認して、お客さんには見せれないので警察を仲介して一発で解決です。
いちゃもんクレーマーのあるある一言
接客業でクレーム対応をしていると誰もが言われたことがあるような内容を記載します。
- 今から家にあやまりにこい!
- 上司(社長)出せ!
- 俺も接客業してるんだけど…
- 金なら持ってるんだよ!
- 誠意を見せろ!
- 時間を返せ!
- 気持ちがこもっていない!
イチャモンクレーマーに言われた際の従業員の本音を以下に書きます。
①行ってどうなるんだよ…。俺は会いたくねーよ。
②いや…そんな常にはいないよ…。
③だったら気持ちわかれよ、いちいち言ってくるなよ…。
④だったらこんな細かいこと言わずに金払ってさっさと帰れよ…。時間もったいなくないの…?
⑤だから謝ってるじゃん。無料にしてほしいだけでしょ…。
⑥そんな魔法が使えるなら自分にかけるよ…。
⑦俺は俳優じゃねーよ!気持ちなんて無いんだからこめれねーよ…。
接客業をしてたら言われるこれらのあるあるワード。
これをよく使う方々は悪質なクレーマーっ気があるかも。。。
普通に生活していてこんなワードを店員に使う事があるのかと疑問に思う方も多いかとは思いますが、店舗を10店舗くらい担当していると1週間に1度はこれらを使われます。
全てのクレームが悪いわけでは無い
クレームというのは要求・主張する・権利という意味があります。
ここまでは悪質なクレームを出して来ましたが、全てのクレームで客が悪いわけではありません。
↑実際にクレームを出すことによって双方が得をする事や必要なクレームの出し方について記載しています。例に出すと、
- 店から提供されたものが焦げていた・冷めているなど。これらは店舗責任者だとスタッフさんが作成提供し、気づかない可能性もあります。それをお客様からご指摘頂く事で、店舗の弱点を知れます。
- スタッフの態度が悪い。上司に対しては、愛想良く振る舞っているスタッフでもお客様には無愛想・無関心な方もいます。それに気付くこと・指導ができるようになる為、必要なご指摘です。
このように普段はクレームをしない方がそのお店のことを思ってわざわざご指摘頂ける場合もある為、全てのクレームが悪ではないし、基本的には『貴重なご意見を頂いている』という事を忘れないようにして下さい。
その考えを持っていればこそ、「あ、これは貴重なご意見では無く、悪質なクレームだ」の判断が付くはずです。
正しい認識を持ってクレームの本質を見抜き、その上で一人一人のお客様に応じた、真摯で毅然とした対応を行うこと。それにより、今後の悪質なクレーマーに対処していきましょう。